公爵閣下の愛妻

第1章 運命の出会い

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その日、僕の人生は大きく変わる事になる。


「ただいま帰りました」

届け物を済ませて下男として働いている屋敷に帰ると、なぜか屋敷中がざわついていた。
何かあったっけ?と思いながら、僕は休憩部屋に向かう。

「あっ!花ちゃん、帰って来た!旦那様が呼んでらっしゃるわよ。応接間」

部屋に入った途端、女中のおみつさんが血相を変えて僕の名前を呼んで駆け寄ってきた。

「どうしたの?何かあった?」

問題事が発生したのかと、おみつさんに聞いても背中をグイグイ押されて「早く、早く!」としか言ってくれない。
一体なんなんだと思いながら、応接間の前に到着すると深呼吸して扉をノックする。

「失礼いたします。花です」

「入りなさい」

旦那様の声が聞こえ恐る恐る扉を開けて中に入る。
そこには旦那様、奥様、2人のお嬢様がいらっしゃり一斉に視線を僕に向けて来た。
全員が眉間に皺を寄せている。
何か粗相でもしただろうかと焦った。

「あちらが下男の花でございます」

旦那様がそう言うと、ソファに座っていたお客様が腰を上げて僕に振り向いた。

「こんにちは、花さん」

僕に声をかけて来てくれたのは、見たこともないような20代後半くらいの素敵すぎる紳士だった。
髪は上品に入れた紅茶みたいな綺麗な茶色、少しだけ毛先が跳ねたふわふわの髪。
高価そうな三揃のスーツに身を包んだ、スラリとした体躯。
おまけにとても長身だ。
顔の一つ一つの部分は神さまが作ったのかと言うほど洗練されたもので、温和そうな笑みを浮かべている。
僕は思わず見惚れてしまった。

「こちらの花がどうかされましたか?まさか何か粗相でも?」

旦那様が目の前の男性に僕を見ながら問いかけていた。
そうだった!何かあったからここに呼ばれたんだ!ハッと我に返り、慌てて一歩下がった。
すると男性がゆったりと僕に近づいてニッコリ微笑んだ。

「こちらの花さんを私の妻として、屋敷に迎えたいのですがお許しを頂けますか?」

………は?男性以外全員がポカンとする。……この人、今なんて言った?妻?誰を?

「はっ花をですか⁉︎ですがこいつは男ですよ⁉︎」

「ええ、それが?性別は関係ありません。私は彼を妻に望みます」

「つっ妻ならこちらにいる娘のどちらかをいかがですか?花嫁教育も受けて社交界にも出させております。決して閣下に恥はかかせません」
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