公爵閣下の愛妻

第5章 中庭で

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「あの……公爵様、降ろしてください」

「嫌です」

子供のようにきっぱり言われてしまった。
嫌⁉︎何で⁉︎
倒れそうなくらいの大人なキスをした後、僕は公爵様の片腕に抱かれ首に手を回した状態で広い廊下を歩いていた。
すっごい恥ずかしいんですけどー!
「重いから自分で歩きます」と言っても「羽のように軽いよ」と微笑まれて一蹴された。
確かに服の上からでも、がっしり?したような力強さを感じる。
胸ツンツンしたい!
きっと僕みたいなひょろっちい体なんてしてないんだろうな。
背も僕なんかよりものすごく高いし、今はほぼ公爵様の目線と同じになっていていつもこんな視界なんだと羨ましくなった。
いつもこんな高い目線から見てるんだー。
良いなぁー。
でもこれだけ背が高いと鴨居に頭ぶつけてたんこぶ出来ないかな?
さすがに慣れてるのかな?
ふおー……何もかもが全然違う。
大人で落ち着いていて、格好もすごく良いし、素敵だし、本当に僕の旦那様になったのかとジッと見つめてしまった。
夢みたい!
僕の視線に気づいた公爵様が僕にうっとりと微笑んだ。

「花さん、そんなに見つめられたらまたキスするよ?」

いたずらっ子のように片目を瞑ってそう言われて、僕はボンっと顔を赤面させた。ぎゃー!

「はへ⁉︎すっすみません。公爵様とても背が高くて目線が同じになると僕も背が高くなった気分になって」

慌てて僕は言うことを言って手で口を塞いだ。
こんな人が通る廊下でまたあんなキスをされたらたまったもんじゃない。
だけど公爵様は僕の塞いだ手に軽く唇をあてた。

「じゃあずっとあなたを抱いたままこうしていようかな。実を言うとあなたをずっと私の腕の中で抱きしめて離したくないんだよ。それにそんな可愛い仕草をして……。私をどうしたいの?」

ずっと⁉︎このまま⁉︎
どっどうしたい⁉︎何ですか、それ⁉︎
こっちが聞きたいです!
1人アワアワしていたら公爵様が扉の前で止まった。
僕の頬にチュッとキスして微笑んだ。

「花さん、着いたよ」
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