公爵閣下の愛妻

第8章 逃亡して捕まって

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なんかあったかい。
それにフカフカしてる。
もしかしてあのおっきな熊さん?そう思って目を瞑ったまま僕はそれに抱きついて頬ずりした。
あったかーい。
…………ん?
だけど熊さんの割にフカフカしてない?
代わりにスベスベしていて弾力があるし僕の腰に手が回っている。
なんで腰に手?
しかも上の方でスゥスゥと規則正しい寝息が聞こえた。
おやおや?と思いながら目を開けてそーっと上を向く。
僕は目を剥いた。
っっっぎゃーーーーー‼︎‼︎
そこにいたのはまさかの伊周だった!
長い茶色のまつげを伏せて、整えられていた髪も今はおろされふわふわと枕の上で跳ねている。
眠っている姿でさえ神々しい‼︎ってそんなこと思ってる場合じゃない!
なななななんでご一緒に寝ておられるのですかー⁉︎
ガバッと飛び起きて後ずさる。
が、ベッドの上だと忘れていてそのまま後ろ向きに落っこちそうになった。
わわっ落ちるっ!
目を瞑って衝撃に耐えた。
でも痛みはやってこない。
……あれ?痛くない?
そろそろと目を開けると、僕の腰には伊周のたくましい腕が回っていた。

「間に合った……!良かった……。花?飛び起きて怖い夢でも見てしまった?」

僕をギュッと抱きしめ、そう言うとヒョイとベッドの中央に戻される。
怖い夢?違うよ!あなたが一緒に寝てたからびっくりしたんだよ!心臓から口……違う!口から心臓出るかと思ったよ!

「おはよう、私の奥さん」

起き抜けとは思えないほどに甘くニッコリと微笑まれた。
ぎょえっ朝からまぶしっ……!
チュッと頬にキスされて僕ははたと気づいた。
あれ?いつのまに僕ベッドで寝てたの?
確か昨日はお風呂場に入って……思い出そうと目を瞑ったらじわじわと昨日の記憶が走馬灯のように蘇ってきた。
そうだ!昨日僕、伊周とお風呂の中で……!
わーー‼︎‼︎‼︎
みるみるうちに体が熱くなってくるのを感じそれと同時に恐ろしいほどの羞恥心が込み上がってきた。
居ても立っても居られなくなって僕はベッドから素早く降りて駆け出した。
その瞬時の行動に目を丸くしていた伊周が後ろから焦ったように「花⁉︎」と大きな声で僕の名前を呼んで「待って!」と言った。
待てない!無理‼︎
今あなたの顔見られないの‼︎あああああっ恥ずかしいよーー!!!
つまずきそうになりながらも扉をドバーンと思い切り開けて廊下に出て全速力で走った。
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