公爵閣下の愛妻

第4章 まさかの……

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本当に本当なのかな?夢じゃない?
そうだ返事、返事をしないと!
抱きしめられていた腕の中から、そろそろと公爵様を見上げる。すると公爵様はものすごく嬉しそうに僕を見下ろしていた。 僕は拳を握りしめた。
よし!言うぞ!

「は……へ、へぶしゅん!」

大きなくしゃみとともに鼻水がタランと垂れた。
うぎゃあ!
僕は真っ赤になって慌てて自分の服の袖で顔を隠した。
うわっなんで鼻水まで出るんだよ!
恥ずかしい!
せっかく公爵様が求婚してくれて大事なところだったのに!
しかも涙が止まったら「はい」って言おうと思っていたのに……!
なんで僕ってこうなんだ。肝心な時に……。
また涙が浮かんできた。

「ハハッ君は本当に可愛いな。くしゃみが〝はい〟の返事?ふふっほら、顔を隠したら鼻を拭いてあげられないよ?顔を見せて、花さん」

返事もろくにできなかったそんな僕に、公爵様は気分を害した様子は全くない。むしろ楽しそうに笑ってる。
気分を悪くしてなかったら良かったんだけど、でもくしゃみが返事と思われちゃったよー!
なんて僕は間抜けなんだ。
返事したいんだけど、でも今手を外したら涙と鼻水でぐちゃぐちゃになってるよ!
ものすごく不細工な顔を公爵様に見せることになっちゃう!
それだけは嫌だ!
意地になってブンブンと首を横にふる。
公爵様は楽しそうに笑って僕の名前を呼んだ。

「花さん。はーな?」

名前を呼ばれても、恥ずかしさと申し訳なさでどうしたら良いのかわからなくなってきた。
きっと幻滅してる。
大事な求婚の時を台無しにしたんだから。
結婚取り消しになったらどうしよう⁉︎
もう旦那様達の所には帰れないし次の働き口見つけないと。
ぐるぐると悪いことばかりが頭にポンポン浮かぶ。
僕は混乱しすぎて顔から袖を外して叫んだ。

「け!結婚してください!僕、僕も公爵様をいっぱい幸せにしたい!こんななんの得にもならない僕だけど、公爵様は求婚してくださった!僕で良ければ結婚してください!」

はぁはぁと力いっぱいにそう言って、ハッと我に返った。
あーー!返事じゃない!何を言ってるんだ僕は!
ほら公爵様が固まってる!
でもそれは一瞬だった。
眩しすぎるほどの笑みを僕に向けてこう言ってくれた。

「はい。喜んでお受けします」
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